因数分解から理解出来る負の数同士のかけ算
近年支持率低迷により地位が危ぶまれている因数分解ですが、この因数分解が何に役に立つのでしょうか。
その答えはともかく、今回はとりあえず
を説明するのに役に立ててみます。
もしあなたが充分な因数分解のスキルを持っていたとしたら、この式をにらみ続けているとつぎのような変形をしたくなるでしょう。
両辺から1をひいて:
、
。
ここで
じゃないかと気づく人ならば、
という当たり前の式にたどりつくことができるでしょう。0には何を掛けても0ですから。
数学に慣れている人ならば、もう
の証明にとりかかる準備が出来ていることに気づくかもしれません。逆に数学が苦手な人ならもう証明が終わったと思われるかもしれません。まだ証明は始まってすらいないので注意してくださいね。
さて、「自分が本当かどうか知りたい式から、当たり前の式を導くことができた。だったら、この逆をすれば当たり前の式から目的の式を導くことができるんじゃないか?」
こう考えた人は、次のような証明を作ることができるでしょう。
aがどんな数であっても、
だから、
。
であるから、
。
これを計算すると、

となるから、
。□
本編としてはここまでなんですた、おまけとしてさらに続けると、
両辺に
を掛けると
。
乗法の交換法則により、
。
、
であることを認めると、
。□
と、-1以外でも負の数と負の数を掛けると正になるということが証明できてしまいました。
また、高校で習う背理法を知っていれば次のような証明が思いつきやすいかもしれませんね。
と仮定すると、
、
となるから、
。
であるから、これは矛盾。
ゆえに、
であり、前記の証明を利用すると
。□
さて、2通り証明方法を紹介しました。しかし、お気づきの人もいらっしゃるかもしれませんが。この証明にはある大きな落とし穴があります。
「
、
であることを認めると」なんてさらっと書きましたが、そんなの認めていいのだろうか。本当はそうならないのではないか。興味のある方は是非とも証明してみてください。簡単ではないですが、この式をにらみ続けていると……?
さらにはこの式を一般化したもの:
を証明したら面白いしょうね。
このページは因数分解がメインなので、負の数のかけ算の説明はまた別のページへ続きます。
参考文献
- 黒田成俊、「共立講座21世紀の数学1 微分積分」、共立出版株式会社、2002年、ISBN: 4-320-01553-3、P23,24。
- 実数の四則演算の公理を参照しました。